特定助教
越智 景子(Keiko Ochi)
専門分野:情報学
特定助教
越智 景子(Keiko Ochi)
専門分野:情報学
経歴
▪2007年 - 2011年東京大学院, 情報理工学系研究科, 電子情報学専攻博士課程 (情報理工学)修了
職歴
▪2011年 - 2014年国立障害者リハビリテーションセンター研究所, 流動研究員
▪2014年 - 2016年国立障害者リハビリテーションセンター研究所, 客員研究員
▪2015年 - 2016年国立情報学研究所, 特任研究員
▪2016年 - 2017年国立情報学研究所, 特任助教
▪2017年 - 2021年東京工科大学, メディア学部, 助教
▪2021年 - 2025年京都大学, 大学院情報学研究科, 特定助教
研究内容
自然な会話によるスクリーニングとは?
認知症のリスクを持つ方は増加しており、適切な医療や支援につなげるためには、まず認知機能の状態を把握することが重要です。一方で、認知機能検査には専門職による実施が必要な場合があり、検査までに待ち時間が生じることもあります。
一般的な認知機能検査では、質問への回答、計算、手を使った課題などを通して、記憶、注意、遂行機能など、さまざまな認知機能を評価します。これに対して、私たちは、会話ができるAIを搭載した小型ロボットを用いて、声質や会話内容などから、認知機能の状態や日ごろの不調に関する手がかりを得るための研究を行っています。
ロボットを用いる利点として、利用者が気負わずに日常会話に近い形で話せることや、継続的な会話を通じて日々の変化を把握しやすいことが挙げられます。こうした技術は、専門職による検査や診断を置き換えるものではありませんが、スクリーニングや経過観察の補助として活用できる可能性があります。
将来的には、専門職がより詳細な評価や支援に時間をかけられるようにすることを目指しています。また、当研究室で実施している認知症に関する脳画像検査など、他のバイオマーカーとの統計的な関係についても検討していく予定です。
会話ロボットに必要な課題とは?
近年のチャットボットや対話AIは、大規模言語モデルを基盤として発展しています。一方で、音声を用いた人間とロボットの会話では、単に適切な文章を生成するだけでなく、話すタイミング、相槌、発話の受け渡しなど、時間的な相互作用を適切に扱う必要があります。
とくに、話し手がまだ話し続けたい場面でロボットが割り込んだり、不要な補足やアドバイスを始めたりすると、会話の自然さが損なわれます。そのため、話し手がどの程度話し続けたいのか、あるいは会話の主導権をどの程度持ちたいのかといった内部状態を、音声や発話内容からリアルタイムに推定する技術を研究しています。
また、患者さんと同伴者さんが一緒にいる場面のように、複数人が参加する多人数会話は、音声対話システムにとってまだ十分に解決されていない課題です。ロボットと人間の一対一の会話であれば、相手の発話に対する応答をある程度推定できます。しかし、複数人が関わる場面では、参加者同士の関係性や、その場でのやり取りの流れを考慮しながら会話を進める必要があります。
こうした複雑な状況の中で、会話の自然さを保ちながら、理解度や関与の程度など、認知機能や対話状態に関わる情報をどのように推定するかが、現在の研究テーマの焦点です。